
村上春樹さんの作品が電子書籍化されたら、電子書籍の普及にかなりの影響を与えるのではないかと以前から言われていましたが、これまでずっと電子化されることはありませんでした。
ところが2015年7月に「村上さんのところ コンプリート版」が、8月に「走ることについて語るときに僕の語ること
」が電子化され、
何かが動いてる……かも。
と淡い期待を感じていたのですが、ついに春樹さんの小説が電子化されることになりました。
英訳された春樹さん作品はずいぶん前から電子化されていたので、なぜ本家本元の国内でこうも遅れてしまったのかはさっぱりわからないのですが(権利関係とかそういうのですかね)ついに、ついに日本でも来ます。
気になる初電子化小説は
もっと古い作品から順番に来るのかと思っていたのですが、ずいぶんと新しいところから来たな、という印象です。
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」はこんな本
2013年4月に単行本が、2015年12月に文庫が発売になっています。長編小説としては2015年11月現在では一番新しい作品です。
多崎つくる、鉄道の駅をつくるのが仕事。名古屋での高校時代、四人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、四人から絶縁を申し渡された。
何の理由も告げられずに――。
死の淵を一時さ迷い、漂うように生きてきたつくるは、新しい年上の恋人・沙羅に促され、あの時なにが起きたのか探り始めるのだった。
一応ストーリー的にはこんな感じになっています。ひと言で言うならば喪失と再生の物語です。
私自身は発売日がアナウンスされた時点で図書館に予約を入れたのですが、それでも発売当日にどうしても欲しくなってしまって、朝一で本屋で買い求めました。
朝一、本当に朝一で、本来なら書店が開いていない時間だったのですが、シャッターのおりた店舗の前に特設の売り場が出来ていて、そこで販売していたのです。
朝のニュース番組でもさかんに取り上げられていました。
久々の長編ということもありましたが、文藝春秋の巧みなマーケティング効果もあって、異常とも言えるほどの盛り上がりをみせていたのを覚えています。
村上春樹の電子化予定作品
電子書籍の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は2015年12月4日に発売される予定ですが、その前に紀行文やエッセイの電子化が予定されています。
- ラオスにいったい何があるというんですか? 電子特別版
2015/11/21 - 意味がなければスイングはない
2015/11/21 - 若い読者のための短編小説案内
2015/11/21 - やがて哀しき外国語
2015/11/27 - 遠い太鼓
2015/11/27
現時点で5冊の電子化が予定されています。
小説がないのがちょっと残念なのですが、今までの状況から考えるとたとえノンフィクションであっても5冊ものラインナップがそろうのはすごいことだと思います。
しかも、文藝春秋の作品だけでなく、ここに来て講談社も電子化ですから、ここから更に一気に来るか、来るよね、来るよきっと、お願い来て!の気分でいます。
というわけで。
あとは。
宮部みゆきさんですね。